歳は十七で、頭がイカれてるの。わたしの伯父にいわせると、この二つは切っても切れない間柄なんですって。
齢二十五歳、四半世紀も生き永らえ、よもや頭がイカれ続けているなんて、十七の私は思っていなかった、と期待する。
🐼🐼🐼
話は約三か月前に戻って風すさぶ十二月、私は完膚なきまでに絶望していた。博士課程前期二年生、端的に言えば、研究がしんどい。研究室がブラックなわけでも、ボスと折り合いが悪いわけでも、研究テーマに不満があるでもなく、ただただ、しんどい。
ワタシとマサキと、時々、Python
パソコンでエディタを開き、数値実験、論文執筆にとりかかろうとするも、iPhoneの上であんなにも活発だった指先は微動だにせず、全精神力、気力をこめて指を動かし、Googleアイコンの下、白い箱に辛うじてたたき出した文字は何を思ったか、「菅田将暉」。
たぶん、読んでくださってる方のうち何人かは共感してくれるだろうと強く願うが、物事の重大な局面を迎えるとつい、逃避したくなっちゃうことってありません?ある。あるよね?
そういうわけで私の中の抗いようのない逃避願望の焦点は菅田将暉に定まり、私と菅田将暉の蜜月がはじまった。
プログラムを動かしては菅田将暉、コードを検索するついでに菅田将暉、論文読むと見せかけて菅田将暉、飯を食っては菅田将暉、トイレでも菅田将暉、お茶with菅田将暉、菅田将暉、Python、菅田将暉、菅田将暉、菅田将暉、Python、Latex、菅田将暉、菅田将暉、菅田将暉、菅田将暉、Python、菅田将暉、菅田将暉、菅田将暉、Latex、菅田将暉、Python、菅田将暉......。
パソコンと向き合うときのBGMは勿論「にほんのかーぜに」。家事をするときもイヤホンで菅田将暉のオールナイトニッポン。菅田将暉に傾倒しすぎて、夫との会話も減少し、家庭に不穏な空気が漂いだしたあたりでさすがにヤバいと思いはじめた。
なにか、なにか、健全で、実になって、できればお金とかもらえて家でできる現実逃避を見つけなくては...!!!
冷静に考えれば研究やれよ!とか、菅田将暉は健全だろ!とかツッコまれそうだが、冷静になれる精神状態だったらこんなことにはなっていないので容赦してほしい。
とにかく逃げたい私は万年こたつの中、こんなツイートを発見する。
編集で関わっているUNLEASHでライター募集をはじめました!
— 小山和之|Kazuyuki Koyama (@kkzyk) 2017年12月19日
テーマの幅は広いので関心領域広い人は割と会うかなと。ご興味ある方は是非応募くださいませ〜https://t.co/IqyshQje7T
え、ええやんけ...!!!
というわけで、勢いで応募した。
ワタシはだれ?ライター応募で気をつけたこと
勢い、とは言っても相手はある程度の技術を求めるだろうから、できるだけ丁寧に書くよう意識した。参考にする人なんているのかわからないけれど、心掛けてみたことを以下に書いていく。
お気軽にお問合せしない
ライター募集の多くは問い合わせフォームなどを使っていて形式は指定されていない。お気軽に!などと書かれているが、中の人は結構忙しいかつ、ファーストコンタクトで可否を決める場合が多いので、「○○ですいっちょヨロシクぅ☆」的な感じでマジでお気軽に名前と肩書だけ送っても返信すらもらえないのが現状だ。
応募の時意識してみたこと
🐼相手とのやり取りはできる限り最小限に
先程も書いたがwebメディアの中の人は案外忙しいので、相手が望みそうな情報はなるべく開示しよう。
🐼強みをアピール
ライティングにおいて、経験はすべて技術に含まれる(と勝手に思ってる)ので書けるだけ書いておこう。また、そうした経験の中でメディアが設定するテーマに沿うものは強めにアピっちゃお☆
以上を踏まえ、実際に問い合わせに書いた内容
- 自己紹介
年齢、肩書、趣味などを簡潔に書こう。また強みがあれば、すかさずアピール。例)野球観戦が趣味→野球関連の知識は豊富です/○○の営業をしていた→プレゼンテーションを通し、○○についてある程度のまとまった知識があります など。 - 関心領域
自分が関心をもっていて、記事にしてみたい/記事を読みたい分野を紹介。この時、自己紹介で提示した自分の経験と紐づけられればなおよし。 - メディアのポリシーと自分の経験・関心領域のすり合わせ
自分が関心を持つ分野や書けそうなテーマがメディアのポリシーに合っているか。合っているならあなたがメディアで担当できそうな部分を、合っていないなら、あなたがメディアに与える新規性を書こう。
思っていた以上に長くなってしまったが、とりあえず、私はこの方法で曲がりなりにもwebライターの肩書を手に入れた。とはいえ、まだまだ駆け出しだし、どこまでこの現実逃避を続けるかもわからない。けれど、今は今でとても楽しいので(お金になるし)、しばらくは続けていけたらいいなと思う。
終わりに
ここまで読んでくださった方の中には、ちょっと研究が嫌になったくらいですぐ菅田将暉に現実逃避をする筆者の精神の脆弱さにほとほと呆れられた方もおられるかもしれない。
私もおよそ二年前、ピカピカの太陽と降り注ぐ桜吹雪の中、意気揚々みやこめっせで写真を撮っていた時にはまさかこんなことになるなんて夢にも思っていなかった。大学院にて思い悩み、喘ぎ苦しむ先達を見ては、毎日学校に行くことの何がしんどいのか首をかしげていた。しかし、思えばこれまでこれまでの人生で初志貫徹などしたことなく、休学や留年などの逃避に走っていた女が何をいっているのか。喉元過ぎれば熱さを忘れるとはまさにこのこと。先輩たち本当にすみません。あなた方は本当にすごい。あの頃の私には、先輩各位に土下座で謝罪行脚してほしい。何なら今の私にも謝ってほしい。いや、マジで本当にすみませんでした。
でも、現実逃避でたどり着いたwebライターという肩書はわりに懐深く、どんな経験をもPVにしてしまおうという来るもの拒まずの魔窟なので、案外、性にあっていたと思う。人生に迷っている人は、とりあえず挑戦してみて損はないと思う。
ここまで読んで、少しでも共感してくれたあなた、一緒に飲みに行こう。まったくもって無駄な時間を浪費したというあなた、すみません、反面教師にしてください。そして、メディア関係者の方、仕事ください。最後に、オレ、菅田将暉だよってあなたは連絡ください。待ってます。