京都タワ〜

27歳一児の母、フリーランスで生きている

【リモート送別会虎の巻】リモート送別会を最大化する!前準備とオススメツール

じりじりしながら夜を待ち、またじりじりしながら朝を待つ。毎日小さくさよならを言う。ああもうこんなこと早く終わっちまえばいいのに。

ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』

 

4月上旬、お世話になった上司、Sさんが会社を辞めることを知る。

たいていの別れは約束せずにやってくるから、約束された別れに行きあうと戸惑ってしまう。

そのうえ、コロナもあって、外へ出るな、人と会うな、会話するな、というあんばいで、労働拠点が違うこともあって結局Sさんと対面しないまま退職の日だけが刻一刻とちかづく。

社会の雰囲気とともに会社の中もざわざわしていている。誰もがいつもよりも頭をいっぱいにしていて、別れの空気はちいさくちいさく押し込まれる。

送別会、とか気軽に企画する感じでもなく、あーどうしよ、あ、あれもやんなきゃ、という感じでチームの中で宙ぶらりんだったボールがわたしに投げられたのは上司の最終出社日の1週間前のことだった。

生来感傷的、というより感傷が好きなわたしは突然のパスで「やったるぞ、」ととりあえず意気込み、まずは調整さんというツールで飲み会の日程の調整をはじめる。

chouseisan.com

しかし、意気込みだけでは段取れないので、気配りもうまく、社歴も長い上司のCさんに相談してみる。

 

わたし「業務中すみません!!送別会って何をすれば………」

Cさん「あ、わたし今日休みなので気にせず!」

 

何を隠そうわたしもその日、出社日ではなかったのだ。

休みの日に即レス、スラック、ワーカホリック

DMだけど目を合わせて笑うかんじ。

【リモート送別会虎の巻】その1: 送別者抜きのチャットルームで贈答品などを決める

Sさんは複数のプロジェクトを取りまとめる役割をしていたので、仕事上関わる人もおおく、各人のお世話になりました度もたかい。

そこでまず、SlackでSさんを除く鍵付きのチャンネルを立ち上げ、関係者を招いた。だいたい20人くらい。

このとき、関係者に抜けもれなどあると気まずいきもちになるので、できれば事前に参加する人をリスト化して他の人に確認してもらうとよい。わたしは気まずいきもちになった。

チャンネルの意図を共有したのち、贈答品やら、お別れのメッセージやらの段取りをする。

寄せ書き

多拠点でやりとりする中で、Cさんが教えてくれた「yosetti」という寄せ書きサービスがひじょうに便利だった。

www.yosetti.com

これは、インターネット上で寄せ書きを募ることができ、その寄せ書きはWeb上でみれるだけでなく、PDFとしてダウンロードできたり、はたまた色紙として印刷して送ってもらうことができる、というもの。

今回は期限が近かったこともあって色紙は頼まなかったが、だいたい送料と印刷、色紙代で3000円前後だったと記憶している。

贈答品

贈答品はまず、チームのひとびとに、予算的な合意をおおすじでもらうところからはじめる。

予算の枠が決まったら、思いつくかぎりSさんの好きなものをあげてもらい、そのキーワードに当てはまるものをAmazonで探してURLを共有する。

その中から評判のよさそうなものをいくつかピックアップして無料の投票ツールにぶちこむ。投票期限は1日後にする。

使ったのは「TAGVOTE」というツール。使い勝手はふつう、https化してないのはちょっと不安。でも、開票のギミックはワクワクした。

tagvote.grinspace.jp

贈答品が決まったらAmazonで買う。

最初に共有した出品者の商品は、安かったけど、口コミとか、少し不安だったので、少々値段は張るが、口コミが複数あり、Amazon Choiceなどにも選ばれている出品者から買うことを決めて、Slackで共有する。

こういう時間がないときにだいじなのはこっちで答えを決めてから、提案することだと思う。

現在、会社では、基本在宅勤務となっているが、最終出社日にはさすがに手続きや挨拶もかねて出社されるということだったので贈答品の送り先は会社にした。

【リモート送別会虎の巻】その2:  事前に式次第を決める

みなさんに お世話になった ありがとう リモート飲みは やったことない

Sさん辞世の句

 

各種贈り物の手配がおわったら、当日の式次第をかんがえる。

飲み会の式次第、なんてちょっとアホらしいかもしれないけれど、今回はリモートだったこともあり、これはよかった。飲み会といえどフレームワークがあれば人間は動きやすいものなのだ。

参加者の規模は15人前後、タイムテーブルは以下。

  • 最初の30分は乾杯、のちみんなでお話
  • 次からは30分おきに3〜4人のグループに分かれて通話、これを3回繰り返す
  • 最後の30分はチームの1番偉い人から送る言葉

また、領収書など、経費として計上するのに必要な各種事務処理ついても事前に共有しておくと安心。

これはスクラップボックスにまとめた。

scrapbox.io

【リモート送別会虎の巻】その3: いよいよオンライン飲み会当日!大人数での飲み会ではZoomのセッション機能が便利

準備をしているとあっという間に当日がやってくる。

リモート飲み会に使ったビデオツールはかの有名なZoom。

zoom.us

事前にスケジュールを設定しパスワードなども設定しておく。

Zoomはバーチャル背景が設定できるなどこわざが効いていることはもちろん、グループ分け機能が無料版でも使えるのがありがたい。

ブレーカアウトルームと呼ばれるこの機能では、一つの通話内で複数のセッション(グループ)に分かれて通話ができる。

その少し前に同程度の規模グループ飲み会をしたが、人数が多いとひとりひとりが話す分量が少なかったり、ちょっとした会話ができなかったり、という課題をかんじたこともあり、導入した機能だったが、今後ある程度の人数でオンライン通話するときはぜったい使うであろう。

ただ、少し使いづらいとかんじたのはデフォルトでブレークアウトルーム機能がオンになっていないため、事前にミーティング設定で機能の設定をしなくてはいけないという点と、設定がブラウザでしかできないという点。

セッションしたくば前準備が肝要なのだ。

support.zoom.us

 

参加者全員が各々の飲食物をともない揃ったところで飲み会はスタートした。

飲み会のなかでも、ブレークアウトルームは評判がかなり良く、わたしは鼻高々だったが、本当に偉いのはZoomの開発者である。

リモート飲み会というと実際に集まる飲み会よりも相互理解に苦労しそうだとおもっていたが、各々で用意した飲食物と部屋の様子が、これまでには見えなかったその人の姿を浮かび上がらせたりするのでおもしろい。

断片的な映像からにじみ出る、らしさに酔う。

店に集まる飲み会では、急に店員がやってきて、飲み放題の終了時刻を告げるが、今回の場合は、ツールを使ってある種、機械的に式次第をたどることで飲み会は恙無くしめさかさをともなっていく。

恙無くという漢字を読めないしペンでは書けないわたしが、キーボードではなんなく書ける。すこし、不思議なことだね。

今回、送る言葉を語ってくれたのは本部長Oさんである。

このOさんはなかなかの曲者で、Sさんの後任者であり、これまでもSさんの最も近くで仕事していたであろうに、寄せ書きを書くのを締め切りギリギリまで渋り、4文字だけ記して提出する蛮行を平然とおこなってきたのである。

許せねえ。

しかし、この日、OさんはSさんとの仕事の思い出を順を追って振り返り、ひとつひとつの言葉をしっかりと、誠実に話していった。

思いがけず、心うごかされる。

残り5分というところまでOさんの言葉は続いた。破天荒を装いながらもなかなかに情にあつい人なのだと、あらためておもう。

その後、残されたわずかな時間を的確にタイムキープしつつチームの面々にきちんと思いを伝えてくれたSさんの姿が、彼女のこれまでの仕事振りをハッと思い出させてくれて、さらに胸が詰まる。

 

予定された全てのものごとがなされ、一通りみんながSさんにお礼を言って、ミーティングを終わる。

終わることは悲しかった。

別離を自分で選ぶこと。

 

今日はその飲み会の翌日の深夜で、Sさんは明後日、最終出社日を迎える。

贈答品はOさんが受け渡してくれる予定だ。

なお、Oさんだけが、贈答品の購入にかかったお金を支払っていない。

 

予定調和的。

おやくそく。

 

ここまで読んでいる人は気付いていると思うが、わたしはSEOというものに心底うんざりしている。

 

お題「#おうち時間